今回のサイト載せ替えにあたり、まずリプレイス後のサイトで具現化すべき要件がクリアになっている状態を目指し、ターゲットの整理やどのような体験を提供すべきか、本プロジェクトで実現したいことなどをヒアリング。依頼の背景を深く理解し、顧客に提供する体験や製品の「良さ」及び「らしさ」の整理のため、今回プロジェクトをご一緒いただいた代表 伊藤様のお考えや共有されるキーワードの背景にある意図なども含め幅広くお話を伺いました。お客さま自身が空間を編集できるようなコンセプトを持つ家具の展開や、特注家具の製造において、使い手側がアイディアや趣向を加えられる余白を大切にしているという思い、またブランドに根付く思想から、提供価値を「作り手によって完成・完結された物ではなく、お客さま側に可能性を与えられる“自由”さがある物であり、それを所有することによって得られる空間づくりという体験。」とまとめました。その上で、創業以来、色づくりと向き合っているからこそできる特注色の化粧板の販売や、複雑に見えるオーダーを分解・整理しシンプルにした上で形にする特注家具の製作、属人的なノウハウにならないよう再現性高く実現するプロセスなど、あらゆるノウハウは、提供価値を体現するためにあると定義しました。それらのコンセプトが採用され、リプレイス後のコーポレートサイトに掲載されています。

サイトを訪れる人も運用する人もシンプルに使いやすいサイトになるよう、要件を整理。日々重視されている「効率化」「自動化」が本サイトにおいても実現できるよう、サンプル請求のしやすさに加え、運用を見据えた商品登録や発送業務の仕組み化を目指しました。また、ターゲットとなる内装・施工業者、デザイン・建築業者、販売店・卸業者を中心としつつ、DIYに使用するであろう一般客の流入も見据えたサイト構成になっています。加えて、サイトを訪れるデザインや設計に携わる方が、設計図にサンプルのカラーを取り込めるよう、商品ページから画像データをダウンロードすることも可能になっています。表現面においては、専門用語は使わず分かりやすい文章になるよう配慮し、 シンプルな中にインタラクティブな動きを加えることによって、誰もが使いやすい仕様を実現しています。

旧サイトにおける課題として上げられていた、画像サイズの大きさや文字入り画像の更新性を改善するということに加え、ブランドらしさを感じさせるようなイメージ・雰囲気への変更を検討しました。「伊千呂らしさ」を感じさせる要素を言葉で表現し、デザイン指針として３つのポイントを提示。「シンプルでスマートなトーン、色が引き立つ設計、シンプルすぎず固くなりすぎないようなアクセントとしての遊び心」をテーマに、サイトデザインを開発しました。また、代表 伊藤様がイメージされる「伊千呂らしい遊び心」を表現するため、イラストでの展開を採用し、イラストレーターを複数ご提案。FRACTAで用意したイラストの原案をもとに、今回のオーダーに相応しい線画で具象的になりすぎないテイストのイラストレーターに参画いただき、意匠化しました。