こんにちは!FRACTA RI局です。
これまで2回お届けしてきたインナーブランディング意識調査2022年度版の最終回となるVol.3をシェアします。Vol.1では調査の主要トピックの結果を、Vol.2では主要トピックの結果から「企業の指針はどのようなよい影響をもたらすか?」のテーマで深掘りをしました。今回はVol.1とVol.2の結果を踏まえ、さらなるデータを加えつつ、「企業の指針はどうあればよいのか」のテーマで考えていこうと思います。
<調査主旨>
弊社社内、あるいは弊社クライアントに提供するための情報として、インナーブランディングにまつわる意識調査を行いました。
<調査概要>
2022年11月半ば頃に、デジタルリサーチを得意とするマクロミルさんに依頼し、インターネット調査をしました。
<調査対象>
経営者の方からパート・アルバイトの方まで、有職の方1130名を対象に調査を行いました。
お住まい、性別、業種、企業規模など、特に絞り込みをかけていません。
調査内容について
今回の調査では、主に下記のような観点で調査を行いました。
・インナーブランディングという言葉はあるけれども、そもそも一般的にどのくらい認知されているのだろうか?
・理念や行動指針を決める企業は多そうだけれども、決められた理念や行動指針は従業員の皆さんにどのくらい受け入れられているのだろうか?
・理念や行動指針といったものが、従業員の皆さんの日々の業務にどのくらい活かされている(と思われている)のだろうか?
※上記主要トピックに関しては、主に前々回の記事(Vol.1)に掲載しております。今回の記事(Vol.3)ならびにVol.2は、Vol.1の深掘りです。
調査結果
前回(Vol.2)では、自社に理念や行動指針があることで、実際に業務に活かせるなどよい影響があることを見てきました。また、「理念や行動指針がどのようなよい影響を及ぼすかのイメージができる/できない」という点において、「自社に理念や行動指針などがある場合」と「ない、もしくは不明な場合」で大きな差があることがわかりました。
「自社に企業の理念や行動指針があったほうがよい」と結論づけた前回の結果を踏まえ、今回は「企業の指針はどうあればよいのか」をテーマに、全部で3つの結果をご紹介していきます。
では早速1つめを見てみましょう。1つめの設問は「あなたのお勤め先には理念や行動指針が、必要だと思いますか?」というものです。こちらは、Vol.1の2つめでご紹介した「あなたのお勤め先には理念や行動指針がありますか?」という設問に対して、「ない」もしくは「あるかどうかを知らない」と答えた方のみを対象にした問いかけです。まず、Vol.1の2つめで提示したグラフを再度掲載いたします。
この「指針はない」と答えた22.1%の方々、「あるかどうかを知らない」と答えた20.9%の方々が、それぞれ、「あなたのお勤め先には理念や行動指針が、必要だと思いますか?」という問いかけに対しどのように答える傾向があるのかを見てみましょう。
「特に必要とまでは思わない」「わからない」が両者ともに60%を超えています。上記の結果を見ると、理念や行動指針などがない、もしくは不明な企業にお勤めの場合、「我が社には指針が必要だ!」という考えには少しなりにくいと思われます。指針の必要性を感じる割合がおおよそ3人に1人程度と考えると、必要性を感じる人が自ら「指針を作ろう!」という行動を起こすまでには少々ハードルが高そうです。
まず社内で必要性を共有し仲間を募り...というステップを踏まねばならないことを考えると、自然発生的に自社内に指針づくりのムーブメントが起こることを期待するのは、なかなか難しいと言えるでしょう。
さて筆者はここで、違いが顕著に出ている「特に必要とまでは思わない」と「わからない」の割合の差に注目してみました。
個人的には、前者よりも後者の割合が多い「自社に指針がない」と答えた方に、引っかかりを感じました。「わからない」というのは必要性の是非を考えられない状態なのか、ひょっとすると興味もない状態かもしれません。とすると、「自社に指針があるかわからない」状態を改善すべき状態なのでは...?と感じました。みなさんはどうお考えになるでしょうか。
さて次からは「愛着」や「所属意識」という切り口をベースに、企業の指針のあり方を考えていきます。2つめは「あなたは、お勤め先の企業やブランド等に対し、所属意識や愛着を感じていますか」という設問です。まず全ての方を対象とした結果を掲載します。
半数以上の方々が、お勤め先に所属意識や愛着を持っているとお答えになりました(「強く所属意識や愛着を感じている」と「やや所属意識や愛着を持っている」)。
では3つめに、2つめと同じ設問に対する答えを「自社に指針がある/ない/あるかわからない」で分けたグラフを掲載します。
ここでも「自社には指針がある」場合と、「ない」「あるか不明」の場合とで顕著な差が出ていますね。前回のVol.2のまとめでは「自社に指針があるのが望ましい」と結論づけましたが、そちらも併せて考えるとやはり「自社には指針がある」場合の方が、総じて望ましい結果になるということが言えそうです。
では今回の記事のテーマである、「指針はどのようにあればよいのか」を考察してみましょう。
上記のグラフのうち、「愛着や所属意識を感じている(「強く所属意識や愛着を感じている」「やや所属意識や愛着を持っている」)」割合と、「感じていない(「あまり所属意識や愛着を持っていない」「全く所属意識や愛着を持っていない」)」割合を比べてみます。
-
自社に指針がある場合
愛着や所属意識を感じている:感じていない = 71.1:28.9
-
自社に指針がない場合
愛着や所属意識を感じている:感じていない = 40.4:59.6
-
自社に指針があるか不明の場合
愛着や所属意識を感じている:感じていない = 32.6 : 67.4
最も差がある部分にそれぞれ色をつけてみました。「自社に指針がない」場合よりも、「不明」のほうが、愛着や所属意識のある/なしの差が大きいことがわかります。
今回の調査は第一回目ですので、まだ早急に結論づけるわけにはいきませんが、ここで得られる示唆としては、「指針を持つことは大事だが、『指針が社内にある』と従業員の方に認識されることも大事」だということでしょう。
「企業の指針はどうあればよいのか?」という問いに対してこの時点での答えは、「指針があるだけではなく、指針をしっかりと浸透させるための活動が、指針を作ることと同じくらい必要そうである」としたいと思います。
まとめ
全3回にわたって、インナーブランディング意識調査2022年度版をお送りしてきました。今回の調査では、インナーブランディング(インターナルブランディング)の要素として代表的な「自社の指針」にまつわる結果を中心にご紹介しましたが、そこで浮き彫りになってきたのは、「自社に指針がある」/「自社に指針がない」もしくは「あるか不明」の違いで、様々な方面で顕著な差が出ている、ということでした。
また、自社に指針があることで様々なよい影響があることがわかり(Vol.2)、指針があるだけではなく「自社に指針がある」と認知されているか否かで、自社への愛着や所属意識のあり/なしが大幅に変わるとわかりました(Vol.3)。Vol.1の2つめでは、「あなたのお勤め先には理念や行動指針がありますか?」という設問に対し43%の方々が「ない」「あるか不明」と答えたという結果が出ていましたが、この43%という数字が、年を追うごとに少なくなっていくことを願うばかりです。
FRACTA RI局では、引き続きインナーブランディング(インターナルブランディング)関連の調査を継続していく予定です。今後またこのような形で、皆さまにシェアできることを楽しみにしております。最後までお読みくださり、ありがとうございました!